この記事では撮影後のネガフィルムを手持ちの一眼レフやミラーレスカメラとマクロレンズを使って直接撮影し、デジタル画像として取り込むデジタルデュープについてお伝えするシリーズの第一弾として、今回は必要な道具や一部の道具の手作り方法などをわかりやすく解説します。
最近若い人を中心にフィルム写真独特の雰囲気がエモいと言われ、見直されているようですね。
若い方がそうやって昔のものに目を向けてくれるのは、おれみたいなおっさんにとってはとても嬉しい事。
でも、フィルム写真はデジタルと違って一枚撮影する毎にコストがかさんで行くので、フィルム代や現像代、そしてSNSに上げるためにデータ化まですると36枚の撮影で2000円前後もかかってしまうので、その料金に音を上げてせっかく始めたフィルム写真をやめてしまう人が出てこないか心配になります。
おれ自身も最近フィルム熱が高まってたくさん撮影するようになったので、コストを抑える為にモノクロフィルムの自家現像を始めてしまいました。
この自家現像って行為は難しい部分もあるけどめちゃくちゃ面白く、像が浮かび上がったフィルムを見ると本当に感動する!
機会があればこの自家現像についても記事にしたいと思いますが、今日のメインはそこじゃ無い。
その自家現像で上がってきたフィルムも写真店でプリントするか、何かしらの方法でスキャンしないと見ることが出来ません。
もちろんヨドバシやキタムラなんかに持って行ってスキャンしてもらう事は可能ですが、せっかく自家現像したのにそれじゃあ味気ない、かと言って高級なスキャナーを買うお金も無い。そこで色々考えた末にデジタルデュープという方法を使う事にしました。
この方法をごく簡単に説明すると、マクロレンズを装着した一眼レフやミラーレスカメラでネガフィルムを撮影し、その画像をPhotoshopなどのレタッチソフトでネガポジ反転する方法です。
幸いな事に「Micro-NIKKOR-P Auto 55mm f3.5」と言う古くてマニュアルフォーカスですが、一応標準マクロレンズを所有していたので、このレンズを生かしてなるべくお金を掛けずにシステムを構築したところ、何とか成功したのでそのやり方を共有したいと思います。
デジタルデュープシステムの概要
まずはこの写真を見て下さい。
なんだかすごく大げさなシステムに見えると思いますが、それは古いハーフマクロレンズ(最近のマクロレンズは撮影倍率1:1の等倍マクロレンズが殆どですが、昔は撮影倍率1:2のハーフマクロが多かったのです。)を無理やり使ったからです。
一番シンプルなシステムだと、カメラ、マクロレンズ、Nikonスライドコピーアダプター ES-1の三点プラス光源(フラッシュ、LEDライトなど)で撮影できます。
もしも、Nikonのフルサイズ一眼レフカメラあるいはZマウントフルサイズミラーレスカメラとFマウント変換アダプターをお持ちなら、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED、またはDX(APS-C)一眼レフカメラあるいはZマウントDXミラーレスカメラとFマウント変換アダプターをお持ちなら、AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G
を用意すれば一番楽に確実にデジタルデュープ出来るでしょう。
そうで無い方は、おれみたいに色々工夫してみて下さい(汗)
マウントアダプタを用意-工夫その1
FUJIFILM X-T30にNikonのレンズを装着する為にマウントアダプターを用意。
カメラメーカーとレンズメーカーが同じなら当然必要ありません。
マクロチューブを用意-工夫その2
Micro-NIKKOR-P Auto 55mm f3.5を等倍撮影できるようにする純正のPK13マクロリングを用意。
等倍マクロレンズにはもちろん必要ありません。
オレはもともとこのPK13を持っていたのでこれを使いましたが、新たに買う場合はもっと安いマクロチューブでも問題ありません。
ただの空洞の筒ですから(笑)
ステップアップ&ダウンリングで焦点距離を稼ぐ-工夫その3
DXフォーマットのデジタル一眼レフカメラとFXフォーマット対応のマイクロレンズでの組合せで使用する場合、画角が狭くなるためフィルムの周辺部が写りません。
ES-1の解説ページにこのような注意書きがありますが、DXフォーマットとは先ほど書いたようにAPS-Cの事で、オレのFUJIFILM X-T30のセンサーもAPS-Cサイズなので当然フィルムの周辺はけられて写りません。
それではせっかく苦労して取り込む意味が半減してしまうので、無い頭を絞って色々考えました。
要は周りが写らないなら、写るところまでフィルムを離せば良いんじゃね?と。それで、ステップアップリングとステップダウンリングをたくさん重ねて距離を稼いだところ無事にフィルム全体が写せるようになりました。
またこの時フィルムの画像が写っている部分よりひと回り広く撮影出来るように調整して、周りのパーフォレーション(フィルムを送る穴)部分が写るようにする必要があるので注意しましょう。このように撮影しないと、後で画像処理するときに困る事になります。
この方法はAPS-Cサイズセンサーのカメラとフルサイズ用のマクロレンズしか持ってない方には使える技だと思いますよ。
また、Nikonスライドコピーアダプター ES-1のフィルターネジ径は52ミリなのでお持ちのレンズのフィルターネジ径が52ミリでは無い場合は、レンズの径に合わせてステップアップまたはステップダウンリングを使用して取り付けて下さい。
フィルムマウントアダプターを作成-工夫その4
最近の若い人は知らないかも知れないけど、昔は小学校などでもOHP(オーバーヘッドプロジェクター)を使ってスライドフィルムを映写することがありました。

このスライドフィルムとはいわゆるポジフィルムの事で、このフィルムで撮影すると現像したままの状態で色が反転していない陽画になるので、その現像フィルムを一枚に切り離して枠にマウントし、OHPで光を当てて映写すればそのまま写真として見る事ができます。
今回用意したNikonスライドコピーアダプター ES-1は、このマウントしたポジフィルムを一枚ずつ撮影するためのアダプターなので、通常は現像後、写真6枚分がつながった状態で切り離されるネガフィルムを撮影する為には、その状態でマウントするためのアダプターが必要になります。
そこで最初に作ったのが、百均で買ってきた黒い厚紙を下記の図面の様に加工したもの。
グレーに塗った部分をレールガイドにし、その間にフィルムを通します。
結構具合は良かったのですが、使っているうちに二枚を貼り合わせているビニールテープが剥がれてくるので、この方法を使う場合は二枚を対象形につなげたまま作って折り曲げた方がいいかも知れません。
もう一つは、先ほど書いたポジフィルムのスライドを作るための富士フイルム製プラスチックマウントを使う方法。
これはそのままでは使えないので、このように赤く塗った部分をカッターナイフなどで切り取って下さい。
どちらの方法でも問題なく撮影出来るので、お好みの方法でどうぞ。
予算があるなら素直にES-2を買いましょう

ここまでオレが行った数々の工夫を解説してきましたが、ぶっちゃけ手間がかかります。もちろんその甲斐あって追加資金5,000円ほどでシステムが完成しましたが、予算があるならもっといい方法があります。
それは、18,000円程かかりますが「Nikon フィルムデジタイズアダプター ES-2」を購入して使う方法です。

写真を見れば一目瞭然ですが、これなら6枚のフィルムを一度にマウントしてスライドしながらどんどん撮影できます。もちろん、アダプターを手作りする手間もありません。
オレはもう少し今回作ったシステムで頑張ってみますが、もしかすると近い将来ES-2を買っちゃうかも(汗)
まとめ
長くなってしまったので今回は準備編として撮影方法や画像の編集方法は次回に回しますが、システムさえ組み上がれば撮影自体はそれほど大変ではありません。
オレの場合はMFレンズなのでピント合わせにそれなりに手間が掛かったけど、AFレンズならそれこそ機械的にどんどん撮影出来るでしょう。
50過ぎのおっさんでも出来たのですから、あなたもぜひチャレンジしてみて下さい。
それでは次回の記事でまたお会いしましょう。
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