こんにちはaki99です。
『依カメラ』の藤木くんと依ちゃんの写真講座第4回
画面の中に意識して奥行きを作れるようになれば、あなたの写真は劇的に変わる!
初心者の依ちゃんがベテランの藤木くんと会話しながら、カメラと写真の知識を吸収する様子を一緒に楽しめば、あなたの写真知識もいつの間にか豊富に?!
フレーミングと構図の違いと構図の作り方
既に読んだ方はジャンプ!
フレーミングと構図って同じように使われる事が多くて、ぼくもごっちゃにして使っちゃう事もあるけど本当は分けて考えるべきなんだ。
そうなの?
簡単に言うとフレーミングは写す範囲をざっくり決める事で、フレーミングした画面内を整理したりアレンジしたりして構成を整える事を構図を作ると言うのが正しいんだ。
それって一緒でも良いんじゃないですか?
例えば綺麗に咲いているコスモスの花一輪を撮影しようとする場合、花一輪だけをアップで写そうか、それとも広角にして他の花と一緒に写す?そうだ、空に綺麗な雲が浮かんでるから下からあおって空と雲も一緒に写そう!
この様にして写す範囲を決めるのがフレーミング。
そして、花を画面のどの位置の置こうか。雲とのバランスは?等を考えて画面を撮影状態に持って行く事が構図を整える事なんだ。
そして、画面を整えるときの指標になるのがこれから教える「額縁構図」などの構図法なんだ。
そっかあ。そう考えると確かに分けた方が分かりやすいですね。
じゃあこれから、「奥行きの構図」を数種類教えるね。
写真に奥行きを感じさせるのはどんな構図?
写真って平面の筈なのに凄く奥行きを感じさせるの、ありますよね。アレってどうしてですか?
絵画だって平面なのに奥行きを感じられる作品ってたくさんあるでしょ。
そう言えばそうですね。
絵画も写真も同じだけど、画面の中に重なりを作ったり、明暗差や陰を作る事によって奥行きや立体感を見る人に感じさせる事が出来るんだ。
そんな写真が撮ってみたいけど、やっぱり難しい?
構図や法則を覚えれば、依ちゃんにも撮れるよ。
じゃあ、教えてくれる?
もちろん!
トンネル・額縁構図
写真や絵画って、それだけを見るよりも額装して見た方が作品に集中できるし、画面の中に奥行きを感じさせたりするでしょ?
確かにそんな気がします。
あの効果を写真自体で出す事が出来る構図があって、それがトンネルや額縁と言われる構図なんだ。
どんな構図なんですか?
例えばこの写真。鬱蒼とした木々の間から小さな池が見えているでしょ。この写真の主役は池の水面なんだけど、木々が周りを覆う事によって池が奥の方にひっそりとあるように感じられると思うんだ。
確かにそんな風に感じます。
ポイントは明暗差なんだ。
明暗差?
ほら、周りの木々、特に左上の横に伸びる幹と右側の縦に伸びる幹が暗くて池の水面はそれと比べて明るいでしょ。このようにすると、明るい部分が際立つと共に奥行きを感じさせる事が出来るんだ。
その事がもっとよく分かるようにPhotoshopのカラーサンプラーツールでピンポイントの明るさを測ってみたのがこの写真。赤い部分が暗くなっていて、その中でも黄色の木の幹が一番暗くなっている。
黄色い丸が明るさを測った部分で、L48などの数値が明るさでもちろん大きい数値の方が明るい。これを見ると、やっぱり周りが暗くって木の幹が特に暗くなっているでしょ。
一番明るいのは水面じゃ無くて、日の光が当たっている新緑の部分だけど、その部分を含めて色を塗ってない箇所は視界が抜けている。だからその事による視覚効果で奥行きを感じさせるんだよ。
これは柵の隙間から魚眼レンズで撮ったんだけど、周りに柵が映り込む事によって額縁効果と共に向こう側をのぞき見てるような感じがするでしょ。これが見ている人の好奇心をあおったりするんだよ。
確かにちょっと背徳感がありますね(笑)
じゃあ、この写真はどんな風に感じる?
暗い木陰にたたずむ少女と明るい桜の花の下を駆けるオレンジの服の少女のコントラストで、木陰の少女がとても悲しげに感じられます。
そうだね。これも、明るい桜の花のトンネル効果で走る少女に視線が集中し、その対比で木陰の少女の寂しさが表現されているんだ。
この写真はとってもハッピーな家族に見えると思うんだけど、これも桜の花の効果なんだ。
そうなんですか?
同じ構図でも、この桜の木にまだ花が咲いてなかったら、ちょっと寂しげでここまでハッピーに感じられないと思わない?
想像してみました・・・確かにさみしいよ~(T_T)
この写真はぼくのお気に入りなんだけど、今までの写真と違って額縁になってる陰の部分が主役と言える写真なんだ。特に左下の自転車のシルエットを主役に写したんだよ。
どう?かっこいいと思わない?
うん!凄くかっこいいです!(私には渋すぎるけどね(^_^;
重なりの構図
画面の中に重なりを作る事によっても奥行きを感じさせる事が出来るんだ。
重なりですか?
簡単に言えば、花を一本だけ写すよりも、前後に配置している二本を写した方が奥行きを感じさせるでしょ。
確かにそうですね!
この紅葉の写真なんて、重なりの効果が発揮されている典型だと思うけど、手前のピントが合っている葉と右奥のボケている葉。更にその奥の幹と緑の葉っぱ。このように距離の異なる被写体を重層的に重ねる事によって、手前の葉が浮き上がって見えるんだ。
こっちは紅葉の葉のアップだけど、手前から奥の背景まで何枚もの葉が重なる事によって奥行きを感じさせると思うんだ。
ほんとですね~。
この日本橋を写した二枚の写真、両方ともたいした写真じゃないけど、桜の写ってない方は何となくのっぺりしてると思わない?
見比べると確かに桜がある方が遠近感や立体感が感じられると思います!
そうなんだ。遠近感や立体感、奥行きなど色々な言い方があるけど、ようは2次元のはずの写真の中に3次元空間を作り出すのが構図の妙なんだ。
最後に同じく日本橋で撮ったチューリップの写真。これも重なりで奥行きを感じさせてるんだけど、それ以上に重要なのがボケなんだ。
ボケはいいですよね~。
確かにボケは綺麗だけど、ただ大きくボケてればいいって訳じゃないんだよ。
ええっ?大きくボケてた方が綺麗じゃないですか。
この写真、レンズは依ちゃんも持ってるパナの25㎜F1.7で写してる。で、この時の絞りはどのくらいだと思う?
答えはF2.8
どうしてそんなに絞ってるの?もっと開けた方がボケが大きくなるのに。
だから絞ってるんだよ。
だから?
そう。開放だと背景がボケすぎると感じたからF2.8まで絞ったんだ。
ボケすぎだとダメなんですか?
もちろんダメじゃ無いよ。その様に表現したいならね。でも、この時は背景の日本橋を何が写っているか分かる程度のボケ具合にしたかったんだ。
ちょっと待っててね。
藤木は今まで見ていたノートパソコンでPhotoshopを立ち上げると、チューリップの写真を読み込んでペンツールで背景を手早く選択してガウスぼかしをかけ、背景ボケの大きなもう一枚の画像を作り出した。
わあ!凄い!わたしも早くフォトショ覚えたいな~。
急いだから細部に違和感があるけど気にしないでね。
どう?2枚を比べてみて。
そうですね~。ボケが大きい方がファンタジックではあるけど、確かに背景は都会であるくらいしか分かりませんね。
あと、何となく立体感が失せたような気も・・・
やっぱり依ちゃんもそう感じたか。ボケが大きい方が立体感が増す場合もあるから一概には言えないけど、何でもかんでもボケが大きい方がいいって訳じゃ無いのは分かったでしょ。
分かりました。何でもかんでも開放で写すのは止めにします(笑)
まとめ
今日教えた重なりの構図はそれだけで使うと言うよりも、分割の構図などと合わせて使うのが効果的なんだ。
合わせるんですか?何だか難しそう。
そんなに難しく考えなくても大丈夫。例えばさっきのチューリップの写真だけど、メインの花が三分割構図の右上の交点に重なってたの気づいた?
えっ?気づきませんでした(^_^;
見てごらん。
ほんとだ!
こんな風に例えば三分割構図で撮るときに、背景の重なりを探したり、額縁構図になりそうな場所でメインの被写体を何かの構図に当てはめたりすればいいんだ。
分かりました。色々試してみますね。
これからも色々な構図や技法を教えてあげるけど、どんな構図や技法も一つのやり方や考え方でしか無い事だけは忘れないでね。
自分の感性が一番ですよね。
そのとおり!
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