初心者カメラストーリー【依カメラ】

依はスマホのアラームで目を覚ますと、カーテン越しにも分かる強い日差しにウンザリした目を向けた。

今年の梅雨明けは異常に早く、関東では6月の末には明けてしまった。

それからは毎日のように狂ったような日差しが降り注 ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

「あの日は楽しかったなあ・・・」

休日の遅い朝。

依はベットの中でまどろみながら、藤木と日菜と三人で旧岩崎邸庭園に撮影に行った日の事を思い出していた。

あの日は庭園をあとにした後も銀座に移動して街ス ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

「ゴールデンウィークに藤木さんと日菜先輩と三人でどこかに撮影に行きましょうよ」と依にちょっとすがるような眼で懇願された。

そんなに藤木さんと撮影に行きたいのかよと内心苦笑しつつも、先日の飲み会でそのうち三人で撮影に行こうと ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

「依、おはよう!」

その元気な声を聞いただけで、顔を見なくても声の主は分かる。同じ部署で働く、一つ上の日菜(ひな)先輩だ。

先輩は豪快というかフランクというか、とにかく自由な人だ。男っぽいしゃべり方をする事もあ ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

今年の桜の季節は特別だ。

依は通勤中の道すがら、ほころび始め、そして少しずつ花を増やしてゆく桜の木を毎日見つめながらそんな風に思っていた。

何でそう思うかって?

それはもちろん、ミラーレスカメラを手 ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

閉会時間ギリギリまでCP+を楽しんだ二人が会場の外に出ると、そこには美しく暮れゆく横浜の街が広がっていた。

「わあ、きれーい!」

依は目の前に広がる美しい夜景を写真に収めようと数枚写し画像を確認したが、何だか思 ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

「それ、モノクロで撮影した方が良いんじゃないかなあ?」

依が撮影した写真を背面液晶で確認していると、藤木がそれをのぞき込みながら言った。

「モノクロ?それって白黒の事ですか?」

「そう、正確には白黒 ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

依がスマホを片手に路上で固まっている頃、藤木の方もスマホを握りしめたまま大きく息を吐き出していた。

もともと恋愛よりカメラやパソコンなどに熱中する方が好きなタイプのいわゆる草食系なので、女性と個人的に親しくなるのは結構久し ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

依が住んでいる町は、古くからある住宅街だ。

大学で地方から出てきたとき、家賃の安さと治安の良さを考えて決めた町なんだけど、大学を卒業して就職が決まっても、あまりにも住み心地が良かったのでそのまま住んでいる。

だ ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

ピッ!

オートフォーカスの合焦音が響くと、依はゆっくりシャッターボタンを押し下げた。

カシャッ!

間髪を入れず、耳と手に心地よい音と振動が伝わり、ファインダー内にたった今撮影した写真が一瞬表示される ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

「えっと・・・」依はいきなりの提案に戸惑った。

「やっぱり、中古じゃいや?」

「そんな事ありません。誰が使ったのか分からないのはちょっといやかもだけど、藤木さんのカメラなら嫌じゃないです」

「ほんと ...

初心者カメラストーリー【依カメラ】

そしてその夜。

連れだって会社を出た二人は、最寄り駅から私鉄に乗り数駅揺られるとターミナル駅で電車を降りた。改札を抜けると駅前ロータリーには寒風が吹きすさび、二人は思わず悲鳴を上げる。

「うおー、さむいっ!こり ...