富士フイルムのカメラの一番の特徴はフィルムシミュレーションだと思う。
ご存知の様に富士フイルムは元々は写真や映画用のフィルムを作るメーカーでした。
そのフィルム開発で蓄えた色作りに関しての膨大なデータを元に作り出したのがこのフィルムシミュレーションなので、どれを選んでも本当にフィルムライクな素晴らしい画質や描写の写真を撮る事ができます。
今回はそんなフィルムシミュレーションの中からモノクロ写真が撮れる「ACROS」を更に自分好みにカスタムしたレシピを紹介したいと思います。
メーカーの中の人もカスタムを推奨してます
せっかくメーカーの人が完璧な画質に作り出したんだから、そのまま使った方が良いんじゃないの?と思ったかも知れないけど、下の富士フイルム公式動画を見たらそんな考えは無くなると思います。
フィルムシミュレーションを開発している中の人もこの様にカスタムして使っているのだから、どんどん自分好みにカスタムするのも全然ありだと思うよ。
カスタム内容のカメラ登録には「X RAW STUDIO」が便利です
X RAW STUDIOについては「FUJIFILM X RAW STUDIOの使い方とその大きな価値とは?」で、カスタムした設定をカメラに登録する方法は「X RAW STUDIOでフィルムシミュレーションを編集しカメラに登録する方法」で詳しく解説しているので未読の方は是非ご覧下さい。
もちろん、カメラのカスタム登録設定で一つ一つのパラメーターを設定しても良いけど、X RAW STUDIOを使った方が圧倒的に楽なのでこちらのやり方がおすすめですよ。
ACROS荒と名付けたカスタムレシピ
まずはFUJIFILM X-E4で撮影したこの二枚の写真をご覧下さい。
右がACROS荒、左が「X RAW STUDIO」で作ったノーマルのACROS画像です。
ノーマルのACROSはとても綺麗なモノクロ写真だと思うけど、ACROS荒の方がよりシリアスな雰囲気が出ていて荒れた粒子がカッコいいと思いませんか?
もちろん好みは人それぞれなので今回のカスタムをあなたが気にいるかは分かりませんが、その点は問題じゃありません。
重要なのはこの様に自分好みにカスタムした設定をカメラに登録すれば、レタッチとか面倒な事はしなくてもJpeg撮って出しで好みの写真が撮れるって事なんです。
設定項目
下の表がACROS荒を作るためにFUJIFILM X-E4の設定を変更した項目で、その他はデフォルト設定のままです。またISO感度は1600を基本に粒子感を減らしたい場合は800に落として撮影しています。
項目 | 設定 |
---|---|
フィルムシミュレーション | ACROS |
モノクロームカラー | WC +1 / MG 0 |
グレインエフェクト | 強度・強 / 粒度・大 |
ダイナミックレンジ | DR200 |
「トーンカーブ | H +1.5 / S +3 |
シャープネス | +1 |
高感度ノイズ低減 | −4 |
明瞭度 | +1 |
このカスタムのポイントはグレインエフェクトを強く掛け、とにかく粒状感を高める事です。
その他にも高感度ノイズ低減もマイナスに設定して、徹底的に画像を荒らしました。
また、ノイズが増えた事によって解像感がやや低下した分はシャープネスと明瞭度をプラスに設定して補った事で、猫の足元のラインを見れば分かる様に100%拡大しても十分にシャープさを保っています。
XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZの作例
キットレンズで手に入れたこのXC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ、電動ズームなのでやや使いづらいけどその描写は侮れませんよ。
画像はクリックで拡大します
廃店舗
何年も前から閉まっているクリーニング店です。打ち捨てられ老朽化した雰囲気が更に強調されました。
濡れた手すり
ボケ部分の荒れた質感が大好きな一枚。
濡れた手すり2
拡大画像を見れば分かるように、金属の傷も水の雫もシャープに描き出しています。
雫を纏う
粒子を荒らしたと言っても、シャープネスの高い現行レンズで写せばこの様に植物の細かい部分も十分繊細に描き出します。
路傍に生きる
雨に濡れた路傍に生える植物達とコンクリートの荒れた質感を雰囲気よく描いています。
minolta MC ROKKOR-PF 55mm F1.7の作例
ここからはオールドレンズ「minolta MC ROKKOR-PF 55mm F1.7」で撮影した作例です。また、絞りについては撮影時に控えていなかったので明記していませんが、F2.8からF5.6と若干絞り込んで撮影しています。
楓
オールドレンズの描写とACROS荒の描写が合わさり、まるで50年前の写真の様です。
吹き溜まり
枯れ落ちた桜の葉が路傍の隅に吹き溜まっていました。この様な被写体には最適なカスタムだと個人的には思っています。
落ち葉
コンクリートのザラついた質感を見事に表現するあたりはさすがロッコールレンズですね。
小さな花たち
実際は黄色い花弁の花でした。
下は粒子の様子が分かるように100%に拡大した画像で、その下はISO200の銀塩フィルム「Rollei Superpan 200」で撮影したフィルムをFUJIFILM X-T3でデジタル化した画像を拡大したものです。
ACROS荒の方がやや粒子が揃っているものの、雰囲気はとても似ていると思いませんか?
またフィルムデジタル化の方法については私の別ブログ「ちゅかめ!」の-まとめ編-ネガフィルムを一眼カメラで撮影し自宅でデータ化する方法を読んでみて下さい。
すっくと立つ
ISOを800にするとやや粒子感が減りすっきりとした描写になります。
坂を登って
細い葉の植物を前ボケにしましたが、そこまでうるさい感じにはならなかった。
小さく咲く
どうですか!暗く落ちた背景に浮かぶ葉っぱの陰影とそこに浮かぶ小さな花。この雰囲気たまりません。
まとめ
作例については雑草や枯れ草など私の趣味が全開なのでちょっと参考にならないかも知れませんが、カスタムの雰囲気は伝わったかと思います。
もちろんここまで画像を荒らさなくても、グレインエフェクトを弱めにかけるだけでも画像の雰囲気が変わるので、自分好みのACROSを是非見つけてみて下さい。
また感想などが有りましたら、ぜひコメントでお聞かせください。
それではまた。
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