Amazonや価格コムでレンズを見ていると、ここ最近聞いたことのないメーカーの低価格レンズをたくさん目にするけど、このレンズたちの写りってどうなんだろう?
いくら安くてもまともに写らないんじゃ、ただの安物買いの銭失いになっちゃうし……。
そんなふうに思って手を出し兼ねてるって方、意外と多いんじゃない?
そこで今回は2020/09/11現在、Amazonで9,200円で売っている(俺が買った時は9,800円だった…)富士フイルムXマウント用の交換レンズHengyijia(ヘンイージア) 25mm F1.8を実際に購入して数ヶ月使った後のレビューをお届けしたいと思います。
先に結論を書いておくと、この手のレンズのほとんどは中華製のマニュアルフォーカスの単焦点レンズだけど、それが気にならないなら手を出してみるのも面白いと思うよ、です。
それでは、実際の写りをまずはご覧ください。
作例は全てクリックで拡大します。
観葉植物でHengyijia 25mm F1.8の解像感とボケをチェック
テスト方法は長辺約180センチのテーブルに白いシーツを敷き、手前真ん中、中間左側、奥真ん中に観葉植物の鉢を置いて、テーブル手前から40センチほどの位置にHengyijia 25mm F1.8を装着したFUJIFILM X-T30を三脚に据えて設置し、照明は上からLED電球で照らし、奥側にある小窓から軽い逆光の光が差し込む状態で撮影しました。
ピント位置と各作例の拡大場所はご覧の通りです。
絞り開放F1.8の撮影結果
絞り: F1.8
レンズ焦点距離: 25 mm
シャッタースピード: 1/60 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 320
絞り開放だと流石にコントラストも低下し、ピント位置の葉のエッジの描き方も甘いですが、ボケは柔らかくうるさい感じもありません。しかし、さすがに開放だと周辺減光はかなりありますね。
柔らかい雰囲気を出したい場合は積極的に開放絞りを使っても大丈夫な感じですね。
絞りF2.0の撮影結果
絞り: F2.0
レンズ焦点距離: 25 mm
シャッタースピード: 1/50 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 320
F2.0に絞るだけでコントラストはグッと増し、ピント位置のシャープさも向上しますが、周辺減光はまだまだ大きめなので、気になる方はもう少し絞った方が良さそうです。
背景は絞り開放と遜色ないほど柔らかくボケているので、ボケの大きさとシャープさを両立したい場合にはこの絞りを選ぶといいと思う。
絞りF4.0の撮影結果
絞り: F4.0
レンズ焦点距離: 25 mm
シャッタースピード: 1/17 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 320
F4.0まで絞るとコントラストや色乗りがグッと増してきてパキッとした描写になり、周辺減光もほとんど気にならないほど減少します。
背景の葉の形もだいぶはっきりしてきましたが、二線ボケなどのうるさい感じは出ていませんので、画質とボケを両立するのには最適な絞り値でしょう。
絞りF8.0の撮影結果
絞り: F8.0
レンズ焦点距離: 25 mm
シャッタースピード: 1/5 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 320
画質的にはこのF8.0がピークに感じられます。
それでも、最近の国産単焦点の様なバッキバキのシャープネス感はありませんが、必要にして十分なシャープさは持ち、背景も写っている物が分かる適度なボケ感なので、日中のスナップに積極的に使いたい絞り値です。
Hengyijia 25mm F1.8の歪曲収差とその補正
最近のメーカー純正レンズとボディの組み合わせの場合、ボディ内に持つレンズ情報によって歪曲収差や色収差などの各種収差が自動的の補正されますが、Hengyijia 25mm F1.8などの中華レンズの場合はもちろん収差補正は行われないので、レンズの素の性能があからさまに現れます。
このレンズの場合、ハイライトの縁などが紫などに色付く色収差についてはほとんど気になる場面はありませんでしたが、画面の端にある直線が歪む歪曲収差については被写体によって気になる場合がありました。
下の画像をご覧ください。
画面左側に写っている電柱が大きく湾曲していますね?
これはレンズ収差に一つである歪曲収差によって起こる現象です。
歪曲収差には色々な型がありますが、このレンズの場合画像の真ん中あたりが外側に膨らむ「樽型収差」が起こるレンズなので、この様に電柱の真ん中あたりが外側に膨らんで写るのです。
でも安心してください。
この収差は下の画像の様に、LightroomなどのRAW現像ソフトで簡単に補正することができます。
黄色で目印の真っ直ぐなラインを引きましたが、左側の補正前では真ん中あたりが歪んで電柱との間に隙間がありますが、右側の補正後ではきれいに隙間がなくなっているのが分かります。
Lightroomでの歪曲収差の補正方法
まずレンズ補正タブを選んでプロファイルから手動に切り替えます。次にゆがみスライダーをを使って補正していきます。
この画像には写っていませんが、補正時には画像の上に格子状の目安線が重なるので、それを見ながら適量補正を加えます。
補正終了後に「切り抜きを制限」にチェックを入れると補正で白くなった部分が自動的に切り抜かれます。
歪曲収差補正前後の作例
一見すると歪んでいる様に見えませんが、よく見ると手前側の石畳のラインが軽く湾曲しているのが分かります。
先ほどと同じ方法を使ってLightroomで補正した画像です。やはり直線が真っ直ぐになると気持ちいいですね。
クリックすると画像が拡大し前後に送れるので、見比べてみてください。
Hengyijia 25mm F1.8の逆光時のフレアとその補正
最近の国産レンズにはとても効果の高いレンズコーティングが施されているのであまりフレアは出ませんが、このレンズの場合は少しフレアが出やすい様です。
フレアとは主に逆光時にレンズから入った光が内部のレンズなどに反射して起こる現象で、光が拡散して白く煙った様な写りになり、コントラストが低下します。
下の写真は、軽い逆光で撮影したの焦げ茶色の板塀などにフレアがかかってコントラストがやや低下しています。
Lightroomの「かすみの除去」機能を使ってフレアを低減したのが下の画像。
この程度のフレアならこの様に簡単に補正できます。しかし、フレアは画像を柔らかくしたりその場の光の状態を分かりやすく表現できるので、闇雲に補正しなくても良いのかもしれません。
Hengyijia 25mm F1.8とはどんなレンズ?
最初に書いた様にこのレンズは中国メーカー製のMF単焦点レンズ、いわゆる中華レンズです。
この手のレンズは色々なメーカー名で同じスペックのレンズが微妙に違う価格で売られていたりするから、一体どれを選んでいいのか?そもそも手を出して大丈夫なのかよく分からなかった。
それで俺も最初は敬遠していたけど、とにかく安いので一本くらい買ってみようかと思って探したのがこのレンズです。
何故このレンズなのか?
この手のレンズに興味を持つ方なら「Hengyijia」は知らなくても、デジカメWatchなどでもレンズレビューが書かれている「七工匠 7artisans」なら名前くらいは聞いたことがあると思う。
このレンズはその七工匠の7artisans 25FXB 25mm F1.8というレンズのOEMである可能性が限りなく高く(100%ではないが)ある程度の安心感が有ったので手を出しました。
しかし……
今のいままで何の疑問もなく使っていたけれど、このレンズ銘板にUMCとだけ書いてあってHengyijiaの名が見当たらないし、シリアルナンバーも刻印されてない(ヤバい?)
ネットで見た他の方のレンズにはちゃんとHengyijiaの名とシリアルナンバーが刻印されていたんだけどなあ…。
まあいいや、ちゃんと撮影できるし…これが中華クオリティってことで(汗)
気を取り直してスペックを
項目 | スペック |
---|---|
焦点距離 | 25mm |
絞りの範囲 | F1.8-16 |
絞り羽根 | 12枚(円形絞り) |
フォーカスレンジ | 18cm-無限 |
寸法 | Ф60mm X 33mm |
フィルター径 | 46mm |
重量 | 142g |

このレンズ構成図とMTF曲線図はAmazon掲載の七工匠の7artisans 25FXB 25mm F1.8からの引用ですが、たぶん本レンズも同じでしょう。
5群7枚の変形ガウスタイプですね。
ご覧の様にとてもコンパクトなレンズですが、外装はアルミの様な金属なのでなかなか高級感があります。
フォーカスリングもMF専用レンズらしくねっとりとした感触で微妙なピント合わせもやりやすくなってます。
ただ一点、絞りリングはクリック感がないタイプなのでちゃんと目で確認しないと正確に合わせることができません。たぶん動画に配慮したのかと思うけど、スチール撮影には少し使いづらいかな。
そうそう、何故本家の七工匠 7artisansを選ばなかったのかというと、同じ様な値段でこちらには金属製のねじ込みフードが同梱されていた。ただそれだけです(笑)
35mm換算37.5mmと標準と広角の間くらいの画角で最短撮影距離が18cmととても短いからテーブルフォトがとても撮りやすいし、コンパクトな割にF1.8と明るいからサブのレンズとして持ち歩くのにも最適なレンズですよ。
Hengyijia 25mm F1.8&FUJIFILM X-T30でスナップショット
ここからは作例を多数掲載します。
撮って出しだけでなく、Lightroomで補正した画像もありますが、それも含めてHengyijia 25mm F1.8の実力を思ってご覧ください。
また絞り値については、電子接点のないこのレンズではExifに書き込まれないため正確な数値がわからず、掲載を見送りました。
千葉の小江戸佐原でのスナップ
この日の撮影記を別記事にて書いてます。モノクロフィルムの作例もあるので興味のある方は是非ご覧ください。
夕暮れ時をお散歩スナップ
まとめ
このレンズはご紹介したブラックの他にシルバータイプもあり、マウントもXマウント以外にSONY Eマウント(APS-C)とマイクロフォーサーズ、キヤノンのEFMマウント版もあったと思います。
ここでは富士フイルムXマウント版とSONY Eマウント版のリンクを載せておきます。その他のマウントはご自分でお探しください(汗)
Eマウント版はこちら
それではまた。
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