初めてレンズ交換式カメラを買う初心者が、レンズ2本がお得に手に入るダブルズームキットを購入する確率は結構高いと思うけど、望遠ズームレンズを日常の撮影で使う機会は意外と少なくて、結局ほとんど使わなくなる人が多いみたい。
そんな人にぜひ撮影に行って欲しいのが動物園!
この動物園って施設、上野動物園みたいな大きなところは全国的にはそう多くはないけど、小さな施設なら探せば身近に意外と有るはず。
私の住む千葉県船橋市近辺にも、市川動植物園と千葉市動物公園がある。
そのような小さな動物園でも撮影の練習には十分だし、しかも入園料が格安なので何度だって通えます。
この記事の前半では、望遠ズームを使って動物園で撮影する方法を簡単に紹介し、後半では先日俺が千葉市動物公園で撮影した写真をたくさん掲載しますので、参考にしてみてください。
動物園撮影のカメラセッテングはずばりこれ
以前もこの記事で動物園撮影のカメラセッテングについて解説したんだけど、改めて読んでみるとめちゃくちゃ理屈っぽくて、これ最後まで読んでくれる人いるの?って感じの記事でした(汗)
だから今回は理屈はすっ飛ばしてずばり解説。
- 撮影モードは「絞り優先AE(Aモード、Avモード)」
- 絞りを開放にする。(F値の数字を一番小さくする)
- ISOオートに設定。
- フォーカスエリアはシングルポイントに設定。
- コンティニュアスAFに設定(任意)
一つずつ解説します。
とりあえず絞り優先AEにしとけばOK
AEのモードには、他にもシャッター速度優先やプログラムなどがあり、初心者はどれを選べばいいか悩むと思うけど、まずは絞り優先AE(Aモード)の使い方を徹底的に覚えましょう。
この設定はもちろん動物園撮影だけでなく、ポートレートでもお花でも街のスナップでも、どんな撮影にも万能に使えるAEモードです。
絞り開放でシャッター速度を稼げ
レンズには絞りという機構があり、例えば今回の撮影に使った富士フイルムの「XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II」では、レンズ名の中にあるF4.5-6.7がこのレンズの開放絞り数値になります。
数値が二つあるのは、このレンズがズームレンズだからで、焦点距離が短い50ミリ側ではF4.5、長い230ミリ側ではF6.7になり、ズームを望遠側にする程開放F値が暗くなります。
絞りについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参照してください。
この絞りを一番明るい(一番多く光を取り込む)開放に設定するとどうなるのか?
シャッタースピードが速くなります。
最近のカメラやレンズには優秀な手振れ補正が入っていますが、それでもやはり望遠レンズでの撮影はとても手振れしやすいし、動く動物相手では被写体ブレも起こります。
その二種類のブレを軽減する1番の方法がシャッタスピードを上げる事なのです。
ISOオートでシャッタースピードを1/250秒以上にキープせよ
望遠レンズでブレなく撮影するには1/250秒以上のシャッタースピードが欲しいところですが、絞りを開放にしてもその速度まで上がらない場合はどうすればいいのか?
それは、露出を決めるもう一つの要素ISO感度を上げればいいのです。
でも、撮影毎にISO感度を設定するのは大変ですよね。
そこで活用して欲しい機能がISOオートです。
ISOとはセンサーに当たる光の感受性の事で、同じ強さの光が同じシャッタースピードでセンサーに当たってもISO感度が低い(数値が小さい)と画像が暗くなり、高い(数値が大きい)と画像が明るくなります。逆に言えば、適正な明るさの画像を撮影する場合、ISO感度を上げればシャッタースピードを速くすることが出来るのです。
私の使っているFUJIFILM X-T30の場合、基準ISO感度と上限ISO感度を設定し、低速シャッター限界を決めます。
例えば基準ISO感度をISO160、上限ISO感度をISO3200に設定し、低速シャッター限界を1/250秒に設定した場合、シャッタースピードが1/250秒以下にならない様にISO160から3200の間でISO感度が自動的に設定されます。
一般的に高感度で撮影すると高感度ノイズが増えますが、動物園での撮影では基本的に手振れしやすい望遠レンズを使いますし、動物は動くのでシャッタースピードが遅いと被写体ブレも多発します。
最近のカメラは高性能なので、ISO3200程度なら実用的な画質を保っています。
ブレた画像はいくら画質がよくても使い物にならないので、積極的に感度を上げてブレを防ぎましょう。
フォーカスエリアをシングルポイントに設定しピンポイントで目を狙え
カメラ会社によって多少名称は異なりますが最近のカメラには、一点を狙えるシングル、測距点を複数束ねて広い面を狙えるゾーン、全ての測距点を使って被写体を捉えるワイドの三種類のフォーカスエリアが搭載されていることがほとんどです。
この中では一見ワイドが良さそうですが、カメラのAFは手前にある被写体にピントを合わせようとするので、特に動物園でワイドを使うと動物の前にある金網や鉄柵にピントが引っ張られてイライラすることが多いのです。それに動物にピントが来ても、基本的には顔の目にピントを合わせたいですよね。
それにはピンポイントで目を狙うのがやはり一番成功率が高いのです
詳しくは最初に紹介した記事の下記の章を参照してみてください。
ただ、最近の新製品に搭載されることが多くなった動物瞳AFが一般的になればもっと簡単に撮影できる様になるのかな。
コンティニュアスAFを使って動体を捕捉せよ
カメラのAFにはシングルAF(AF-S)とコンティニュアスAF(AF-C)があります。
シングルAFは文字通り一度だけピントを合わせてそのピント位置が固定されるモードです。例えば、お花のめしべにピントを合わせて撮影する場合、AFポイントを合わせたい位置に持って行ってシャッターを半押ししピントを合わせて撮影しますよね。この様な動かない被写体に使うのがこのシングルAFです。
コンティニュアスAFは動く被写体に有効なAFで、例えば電車を撮影する場合、走ってきた電車の先頭車両にピントを合わせてAF-Cを使って連写するとカメラが電車の先頭にピントを合わせ続けて撮影できるのです。
ただし、電車の様に一定の方向に動く被写体ならカメラも動きが予想しやすいのでピントもよく合いますが、動物は動くスピードや方向も変化するのでカメラによってはすぐにピントを外してしまう場合もあります。
こればかりは持っているカメラの性能に依存するので、ご自身のカメラのAF-Cを使ってみて判断してみてください。
また、被写体を測距点に捕らえ続ける撮影能力も重要ですので、どこにでも居るスズメやカラスなどで練習してご自身の補足能力をあげましょう。(お前もな(汗)
千葉市動物公園の動物たち
ミーアキャット
絞り: F8
レンズ焦点距離: 135.7 mm
シャッタースピード: 1/177 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F8
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/104 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/982 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/982 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/556 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/556 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F5.9
レンズ焦点距離: 127.9 mm
シャッタースピード: 1/879 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F5.9
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 127.9 mm
シャッタースピード: 1/809 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F5.9
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 127.9 mm
シャッタースピード: 1/910 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
ミーアキャットは撮影がとても楽しい被写体です。今回の撮影でも、一番多く撮影しました。
象
絞り: F6.7
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/163 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F5.5
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 90 mm
シャッタースピード: 1/695 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F5.5
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 90 mm
シャッタースピード: 1/600 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/879 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 400
絞り: F8.9
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/744 s
露光量補正値: -0.67 EV
ISO スピードレート: 400
象の撮影は肌の質感をいかに出すかが肝。
オジロワシ
絞り: F6.7
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/322 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F6.3
レンズ最小 F 値: F4.4
レンズ焦点距離: 152.6 mm
シャッタースピード: 1/355 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F6.3
レンズ焦点距離: 152.6 mm
シャッタースピード: 1/315 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
目にビシッとピントが来たカットはめちゃにカッコイイ!
ゴリラ
絞り: F5.5
レンズ焦点距離: 101.2 mm
シャッタースピード: 1/30 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F5.3
レンズ焦点距離: 80 mm
シャッタースピード: 1/56 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/25 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/28 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 250
ゴリラはやはり貫禄がありますね。
日本猿
絞り: F6.1
レンズ焦点距離: 143.9 mm
シャッタースピード: 1/68 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/58 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F5.9
レンズ焦点距離: 120.6 mm
シャッタースピード: 1/211 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 250
猿山のニホンザルも撮っていて飽きない被写体です。でも、今回は設定ミスでブレた写真を量産してしまった(汗)
ライオン
絞り: F7.2
レンズ焦点距離: 171.6 mm
シャッタースピード: 1/205 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 200
絞り: F7.2
レンズ焦点距離: 171.6 mm
シャッタースピード: 1/209 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F6.5
レンズ焦点距離: 161.8 mm
シャッタースピード: 1/194 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
ライオンは意外とモノクロが似合う。今回の発見です。
シセンレッサーパンダ
絞り: F5.5
レンズ焦点距離: 101.2 mm
シャッタースピード: 1/33 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F5.7
レンズ焦点距離: 113.8 mm
シャッタースピード: 1/217 s
露光量補正値: +0.33 EV
ISO スピードレート: 2500
下側の写真は、二本足で立つレッサーパンダとして一世を風靡した風太くんです。ご覧の様に白内障を患い右目が見えませんが、まだまだ元気に来場者を迎えてくれています。(2020年3月現在)
フクロテナガザル
絞り: F5.9
レンズ焦点距離: 127.9 mm
シャッタースピード: 1/185 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/92 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
動きの速いフクロテナガザルを連写で狙ったけど、シャッタースピードが遅くてほとんどがブレていた。やはり動物撮影にはシャッタースピードを速くするのが重要です。て言うか、ISO160じゃ動体撮影なんて無理でしょう(汗)
その他の動物
しまうま
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/505 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
ベニイロフラミンゴ
絞り: F8.9
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/95 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
ダチョウ
絞り: F5.7
レンズ焦点距離: 107.3 mm
シャッタースピード: 1/263 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
エジプトハゲワシ
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/416 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
ハシビロコウ
絞り: F6.5
レンズ焦点距離: 171.6 mm
シャッタースピード: 1/83 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 160
カリフォルニアアシカ
絞り: F5.7
レンズ焦点距離: 50 mm
シャッタースピード: 1/982 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 160
チンパンジー
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/64 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
コツメカワウソ
絞り: F8.9
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/175 s
露光量補正値: -0.67 EV
ISO スピードレート: 250
アメリカビーバー
絞り: F7.2
レンズ焦点距離: 181.9 mm
シャッタースピード: 1/218 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 2500
カラス(番外編)
絞り: F5.9
レンズ焦点距離: 120.6 mm
シャッタースピード: 1/1783 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 250
絞り: F6.7
レンズ焦点距離: 230 mm
シャッタースピード: 1/556 s
露光量補正値: 0 EV
ISO スピードレート: 400
絞り: F5.7
レンズ焦点距離: 45 mm
シャッタースピード: 1/1067 s
露光量補正値: -0.33 EV
ISO スピードレート: 400
まとめ
この記事を書こうと思った経緯は、この千葉市動物公園撮影の失敗にあります。
この日はこのカメラ、FUJIFILM X-T30を買ってからまだ数日しか経ってなかったので設定もまだ適当で撮影してしまい、案の定手振れや被写体ブレ写真を量産してしまいました。
今回掲載した写真のデータもよく見るとシャッタースピードが遅い写真が散見されますよね。
やはり、望遠レンズでの撮影ではシャッタースピードを速くするのが失敗を減らす1番の方法です。
私も次回の撮影では、今回解説したことを実践し歩留まりを上げたいと思います。
今回の撮影に使用したカメラとレンズです。
それではまた。
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